最近、お母さまたちから「風邪の時は小児科でいいのですか?」と質問されます。
風邪の咳、鼻水がつらい時に鼻の吸引・ネブライザーや薬でつらさをやわらげてあげたり、風邪のありふれた症状である中耳炎のチェックと治療は、小児科医にとって当たり前のことです。
そのほかに小児科医は、「ただの風邪ではない、何か重たい病気がかくれていないか」をいつも念頭に診察しています。
ふつうの風邪のように見えても、思いもかけない病気が見つかることは、全身を診る小児科医にとって特別な事ではありません。
ですから、私たち小児科医は、いつもお子さまのからだ全体の診察、発達、心の状態もチェックするように心がけています。
そして薬も必要なものだけ、抗生物質も本当に必要な時にだけ、です。
中耳炎の9割以上で抗生物質は不要です。
余分な薬は子どもにとってマイナスです。
もの言えぬ子どもの診察では、鼻水・咳などの対処はもちろん、自然に治る病気(風邪やインフルエンザなど)のほかに、なにか重たい病気がかくれていないか、という診察姿勢と知識が必要です。
たとえば、インフルエンザシーズンでごった返す外来でも、インフルエンザのように見えても実は別の重たい病気のお子さまがいて、緊急で紹介入院することがあります。
このような方が毎シーズン5-10人います。
私たち小児科医は長い年月をかけて以下のような経験を積んでいます。
・子どもの各年齢層に特徴的な病気と治療
・大人のミニチュアではない子どもの、様々な分野の膨大な種類の病気
・未熟児・新生児の医療、そして赤ちゃんが生まれる前からの産婦人科医との連携
・心肺蘇生を基本としたこどもの救急医療
・乳児期から幼児・学童・思春期に至る間の発達や心の問題についての相談
・園や学校、市行政からの質問や要望への対応と協力
・子育て中のご両親自身の病気、不安などトラブルの相談、ご自身とお子さま双方に関わる健康問題への対応
それでも、どんどん進歩する医学、子どものさまざまな体とこころの病気・健康問題・社会問題について、私たちは日々の勉強が欠かせません。
子どもの「風邪の診療」は小児科医療の入り口です。